町野朔 先生(刑法) | きっと合格してやるっ!!司法試験のブログ

きっと合格してやるっ!!司法試験のブログ

きっと合格してやるっ!!司法試験のブログです。

初学者のための学者講座  今回は刑法の町野朔先生です。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

上智大の町野朔先生は、ご存じのように、平野龍一先生のお弟子さんです。

 町野先生は、刑法総論、各論でも多くの業績があり、私も受験で町野先生の刑法に関する論文・評釈等を読んで「鋭い!」って思うことが多々ありましたが、町野先生は、医事法でも大変有名ですね。医療関係法に関わる公職も多く就かれています。

 町野先生は、助手時代に、違法性で論文を書きたかったらしく、平野先生に違法性で論文を書きます、といったら、平野先生は、不安そうな顔をしたのち、少し困惑した様子で、「そんな抽象的なことをやっても意味がないので、藤木英雄先生の『可罰的違法性の理論』のように具体的な問題をやった方がいいと言われていたそうです。

 その後、法学部研究室のロビーで平野先生に呼び止められて助手論文のテーマを「医療と刑法」にするように言われて、がっかりして硬直してしまったとのことです。

 平野先生には、「“××××を専門にしている”、などと言うより、“医療を刑法を勉強している”、という方がよっぽど偉いことだよ」と言われたけれども全く慰めにならなかったようです。

 しかし、藤木先生に、助手論文のテーマについて「医療と刑法」だということを話したら、藤木先生は「きみは本当に言いテーマを選んだ。町野君の研究室には門前市をなすことになる」といって喜んだそうです。

 町野先生が医療を研究するようになったのは、これがきっかけで、最初は不本意だったのでしょうが、結果としては、藤木先生の仰るように、医事法の大家になられたのではないでしょうか。
(以上のエピソードの文献ジュリスト1281号)

さて、町野先生は、教科書として、刑法総論講義案 1 があるのですが、これは未完で、刑法総論全体をカバーしていないんですね。町野先生も古稀を迎えて、もう完成しないんだろうな、と思うと残念です。

 町野先生の本でよく憶えているのは、発売当時神田の三省堂で立ち読みした犯罪各論の現在です。
 
 これは、法学教室での連載をまとめた本ですが、24つのテーマのうち、次のとおりわいせつ関係が5個もあって(これに対し、財産罪は6個)、非常に変わった各論の本だ、と思ったのをよく憶えています。
 14 わいせつ概念と三要素説 -つかみどころのない概念-
 15 文芸裁判の条理 -芸術性とわいせつ性-
 16 わいせつの処罰根拠 -心配性な人たち-
 17 強制わいせつ罪の現在 -セクハラと痴漢-
 18 強姦罪の現在 -強姦、和姦、準強姦-

 安楽死、脳死など人の死に関わるテーマも4つあって、さすが町野先生の各論の本だ、と思いますね。
 久しぶりに読んでみたのですが、とっても面白いです。受験向きではない本ですが、刑法を勉強する人には面白く読めると思います。



人気ブログランキングへ